イヌブナ−ブナ群落
 イヌブナ、ブナの優占で特徴づけられる冷温帯落葉広葉樹林である。 高木層の高さは25m以上になる。
 この群落は六甲山の標高の高いところの極相林である。 六甲山頂付近の谷筋など比較的土壌が厚く
 適湿な立地条件の所に分布するが、現在では紅葉谷を中心にした尾根より北側の斜面わずかに残されて
 いる。 南側斜面ではイヌブナ林が小面積ながら見られる。 垂直分布からみれば、裏六甲はイヌブナ林の
 下限が570m、 表六甲では730m付近である。 
 ブナ、イヌブナが優占し、イタヤカエデ、タムシバ、クマシデなどが混生することがある。 亜高木層には
 リョウブ、ソヨゴ、ウラジロノキ、コナラ、コウチワカエデ、アカシデなどが混生する。 低木層ではシラキ、
 タンナサワフタギ、ネジキ、オオカメノキ、アワブキ、クロモジなどが生育している。 草本層にはスズタケ、
 ミヤコザサ、ツルシキミ、チゴユリなどが出現する。
 六甲山に見られる本群落は兵庫県北部の同群落と比べると、ハイイヌガヤ、チャボガヤなどの日本海型
 のブナ林要素を欠き、スズタケ、シラキ、ツクバネウツギ、タンナサワフタギ、アカシデなどの太平洋側の
 ブナ林要素を持つ。

イヌブナ−ブナ群落林内   2002/5/2
 神戸市北区 六甲山北側 紅葉谷(標高770m)
ブナの樹形   2002/5/2
 神戸市北区 六甲山北側 紅葉谷(標高750m)
ブナの樹皮   2002/5/2
 神戸市北区 六甲山北側 紅葉谷(標高750m)
六甲山系における森林の種類