アカマツ−モチツツジ群落(二次林)
 高木層に常緑針葉樹のアカマツが優占する群落で、亜高木層にはコナラ、ソヨゴが多く見られる。
 また、低木層にはコバノミツバツツジ、モチツツジ、ネジキ、ヒサカキ、ヤマウルシ、サルトリイバラなどが
 育成する。 上層樹であるアカマツの林冠の光透過性がよいための草本層にはススキ、アキノキリンソウ、
 コシダ、ワラビなど陽地性の植物が育成する。 この群落にはシャシャンボ、カナメモチ、アベマキ、コシダ
 が出現するシャシャンボ亜群集とシロバナウンゼンツツジ、タンナサワフタギ、コアジサイ、ミヤコザサ
 などが出現するウンゼンツツジ亜群集の2つのタイプに分類できる。 両者の境界は南斜面では標高
 約300m付近、北斜面では標高200〜250m付近である。 同じ二次林のコナラに比べてやや乾燥地
 を好み、尾根筋などで多く見られる。
 六甲山系では最も広範囲に広がり、ほぼ全地域で見られるが、西六甲では松枯れによる減少が著しい。


 【シャシャンボ亜群集】
  シャシャンボ、カナメモチ、コシダ、アベマキ、ヤマウグイスカズラが識別種となる。 階層は5層になる
  ことが多く、高木層は10〜20mでかなり不均一。 その層にアカマツが優占し、時にはクロマツが混生
  する。 亜高木層は約8〜10mで、コナラ、ソヨゴが優勢で、アベマキ、リョウブなども見られる。 全般的
  にはこの層は貧弱である。 第一低木層は高さ4〜6mでソヨゴ、アセビ、コバノミツバツツジ、モチツツジ、
  シャシャンボ、ネジキ、サルトリイバラ、ネズミサシなどが見られる。 この層が一番発達していて、樹種数
  も多く、被植率も高い。 草本層ではコシダ、へソカズラ、シュンラン、ノガリヤスなどが生育している。
  表六甲では250〜300m、裏六甲では200〜250mに分布する。 西神の丘陵地帯の大部分はこの
  群集で占めている。
  

 【ウンゼンツツジ亜群集】
  タンナサワフタギ、アクシバ、ウンゼンツツジ、コアジサイ、ミヤコザサ、コガクウツギ、タムシバ、ナンキン
  ナナカマドなどが識別種となる。 階層は4〜5層からなり、高木層は樹高12〜20mでアカマツが優占
  している。 亜高木層は樹高10m前後で、一般に貧弱でコナラ、ソヨゴ、リョウブが見られる。 第一低木
  層はヤマウルシ、ソヨゴ、コバノミツバツツジ、タンナサワフタギ、ネジキ、カマツカなどが見られ、第二低木
  層はコバノミツバツツジ、モチツツジ、ヒサカキ、ウンゼンツツジ、コアジサイ、ナンキンナナカマドなどが
  多く生育する。 シャシャンボよりやや高い標高に分布する。
  表六甲では300〜350m、裏六甲では200〜250mに分布する。 
  
 写真−1  アカマツ林内(高木層)
    神戸市北区 鍋蓋山北側
 写真−2  アカマツ林内(低木層)
    神戸市北区 鍋蓋山北側
 写真−3   アカマツ  写真−4  モチツツジ